【取材レポート】2030年へ向かう東通グループの 挑戦:不動産が「もっと自由」になる未来とは
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6月2日、TOKYO NODE HALLで「東通グループ事業戦略発表会(TOTSU NEXT VISION)」が行われました。会場では、単なる事業拡大への意欲に留まらない、東通グループが描く確かな「未来へのビジョン」を感じることができました。
「信じる未来、託す東通グループ 街の魅力を高める革新的なパートナー」というコーポレートスローガンを掲げる同社は、不動産売買、賃貸管理、土地開発、ホテル事業など、多岐にわたる事業で長年“街づくり”の最前線を牽引してきました。そして今回発表されたのが、2030年に運用資産規模3,000億円達成という壮大な目標、そして2025年より始動するプロジェクト「不動産をもっと自由に大作戦」です。
今回の発表会で印象的だったのは、数字目標だけではなく、東通グループが未来の社会、そしてそこに暮らす人々のために何ができるのかという問いへの真摯な姿勢でした。
2030年に運用資産規模3,000億円達成を目指す


会の初めにまず登壇したのは、ヒューゴ・チャン氏と共同で東通グループの代表取締役を務める桜⽊ 翔氏。5年後の2030年に運用資産規模3,000億円を達成するという壮大な目標を発表しました。これは現在の3倍となる数字です。
桜木氏は、そのために特に注力していきたいことに「新しい価値を見出すプロデュース力の構築」をあげ、「見る角度を変え、マーケットの中で見過ごされがちなチャンスを見出して、そこに新しい価値を創造していく。新しい価値を見出すプロデュース力こそが、私たちの目指す方向性です。」と熱い想いを語りました。
続いて登壇したヒューゴ氏は、コロナ禍に会社を立ち上げた際に感じた想いを交えながら「“なぜ東通なのか”と問うのではなく“東通でしかできないこと、東通でなくてはならない理由”を考えながら挑戦している。東通でないとできないことをしてこそ価値がある」と強く語りました。
壮大な目標達成に向けて掲げた「不動産をもっと自由に大作戦」
続いて、執⾏役員の桜井 吉男氏が、これから始まるプロジェクトについて説明しました。
過去にバイトダンスの立ち上げも担当し、「テクノロジーの進歩は目覚ましいが、それに比べてまだまだ不動産の歩みはゆっくり」だと話す桜井氏は、不動産畑ではなくIT出身だからできることをしたいといい、「不動産をもっと自由に大作戦」と銘打った新たなプロジェクトを発表しました。


このプロジェクトの内容は、
・資産運用を自由に!大作戦ーアセットマネジメント事業ー
・不動産投資を自由に!大作戦ー小口化商品事業ー
・宿泊体験を自由に!大作戦ーLOFホテル事業ー
・賃貸をもっと自由に!大作戦ーTHE TOTSU シリーズー
・上質な暮らしを自由に!大作戦ーTOTSU PREMIUMシリーズー
の5つ。
このために東通グループはすでに4月に「東通アセットマネジメント株式会社」の設立もしており、不動産金融を通して投資家の資産を増やすことや、これまで不動産投資をしたことのない初心者の入口にもなるような企画をしていきたいという計画が語られました。
また宿泊事業や新たな賃貸の事業にも力を入れたい様子で、外観を見ただけでも普通のホテルとの違いを感じられるような新しいスタイルのホテルの運営や、住む人のこだわりに寄り添いこれまで賃貸でできなかったこと、車やバイクを室内に置く、大型ペットとも共存できる空間にするなど、オーダーメイド型賃貸マンションの建設もしていきたいとしていました。
桜井氏のプレゼンの中では、「⾼級賃貸シリーズ」の第1弾、白金台の物件の設計監修を⼿がけた建築家 隈 研吾⽒と、企画コンサルティング担当の株式会社ケン・コーポレーション 常務執⾏役員 ⾼⼭ ⼀頼⽒も一時登壇し、それぞれの想いも語られました。
世界的建築家×東通グループが考える「不動産業界の10年後、50年後の未来」
発表会最後は、広告などさまざまなクリエイティブやプロジェクトを手掛けるクリエティブディレクターの辻 愛沙⼦⽒をモデレーターに、隈氏、桜井氏、桜木氏が「不動産をもっと⾃由に⼤作戦〜不動産業界の未来について〜」をテーマにトークセッションを展開。
JRの事業で、高輪ゲートウェイ駅と駅周辺の開発を10年以上担当しているという隈氏はまず、高輪ゲートウェイ駅の先にある白金台という場所は、鉄道の拠点となる品川駅にほど近い場所でありながら緑が多く落ち着いた高級住宅街という面を持ち合わせた非常に魅力ある場所であると紹介。東京湾、そして将来的にはリニアと本当に様々な世界に繋がるこの場所での開発をぜひ楽しみにしてほしいと語りました。


辻氏から、「『不動産業界の未来』を語る上で東通グループが今後計画していることについて聞かれると、桜井氏は「この場では言えないことも色々ありますが、言えることでいうと『東通テクノロジー』の設立は視野に入れている。もう少し細かい部分では、防音などに特化した配信者専用住宅なども一つの考えとしてある」と話しました。
次に”10年後”の不動産業界はどんな風になっているかに話題が移ると隈氏は、「10年前と今ではコロナ禍があったこともあり特にすごく変わっている。同じようにまた10年というと今とはすごく変わっていると思う」と話し、「日本は環境配慮の面で他国に比べて遅い。リモートワークに対応した家も以前はなかったがこれからはどんどん必要になる。この10年でテーマになるのは環境、緑。木を使うことも新しいスタンダードになる。今はその転換期。」と語りました。桜井氏は、「言い方は悪くなるが、不動産業界はテクノロジーに乗り遅れている。10年後はすべて自動化されているだろう」と話しました。


さらに、”50年後”はどうなっていると思うか、と聞かれると隈氏は「50年後の日本の人口は半分になる。人口は減るが、平均寿命は延びるかもしれない。そんな50年後の世界でなにが贅沢かと言えばどう自然を感じられるか。人口が減っても生き残れる住まいは?と考えていくのが新しい使命だと思う」とし、桜木氏は、「空飛ぶ車があるなら空飛ぶ住居があってもおかしくない。レゴみたいに組み合わせられる住宅ができるかもしれない。火星にも引っ越せるんじゃないかと思うこともある。限界を決めず、僕ら自身がチャレンジすることを続けたい」と語りました。
トークの終わりに隈氏は「不動産業界もこれから大きな変換期がくる。それに応えられるものをつくっていきたい」、桜木氏は「人類が未来を創る。チャレンジすれば変わっていく」、桜井氏は「誰かがやらないと新しいものは生まれない。東通グループとして革新を意識していきたい」と語り、イベントを締め括りました。
・登壇者
東通グループ 共同代表 HUGO CHIANG(ヒューゴ・チャン)氏
東通グループ 共同代表 桜⽊ 翔氏
東通グループ 執⾏役員 桜井 吉男氏
建築家 隈 研吾⽒
株式会社ケン・コーポレーション 常務執⾏役員 ⾼⼭ ⼀頼⽒
株式会社arca CEO / Creative Director 辻 愛沙⼦⽒
・トークセッション
(隈 研吾⽒、辻 愛沙⼦⽒、東通グループ 桜⽊ 翔氏、桜井 吉男氏)
執筆/フリーライター Yuki Katagiri